検診の心電図で非特異的ST-T変化を指摘されたら…?

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非特異的ST-T変化とは

一般に、心電図における非特異的ST-T変化とはT波の平低化や陰転、あるいはST低下のうち病的な意義がはっきりしないものとされています。

しかし、実際のところ、心電図だけでは病的意義があるかはわからないため真に非特異的ST-T変化と判断するには患者さんの年齢、受診理由、基礎疾患などから総合的に判断する必要があります。

非特異的なT波の変化は、メンタルの変化(不安、恐れ、起立、食後、過呼吸)によっても起きるとされています。

非特異的ST-T変化の原因

非特異的なST-T変化は心臓以外の原因で認めることが多いと言われています。

心臓由来か心臓以外の由来かどうかを調べる必要があります。

心臓由来の代表的非特異的ST-T変化

心臓に原因があるので、厳密にいえば非特異的ではなく特異的なST-T変化になります。

心電図の自動解析の際に非特異的ST-T変化とみなされ見逃されてしまう場合がありますので、背景にこれらの疾患が潜んでいないか注意する必要があります。

・虚血

・左室肥大

・心筋症

・僧帽弁逸脱

・ジギタリス、抗不整脈薬

非心臓由来の代表的非特異的ST-T変化

心臓以外が原因の非特異的ST-T変化には下記のようなものが代表です。

・電解質異常(低カリウム血症、低マグネシウム血症)

・体温異常(低体温、高体温)

・中枢神経異常(脳卒中、脳内出血など)

・過換気

・アシドーシス

・低酸素

・心理的ストレス

非特異的ST-T変化の心電図

次に非特異的ST-T変化の心電図の代表的な所見を解説します。

・V2(あるいはV3)誘導の陰性T波

・ Ⅲ誘導の陰性T波

・ 2相性T波

・ T波の減高

2相性T波のうち、5mm以上(上下に大き1マス1つ分(小さなマス5つ分))の陰性T波は異常である場合が多く精査の対象です。

まとめ

心電図ではST-Tが軽度低下していたり、T波が軽度陰転化している際、自動解析で非特異的ST-T変化と表示される場合があります。

心電図で非特異的ST-T変化を認めた際は背景に基礎疾患が存在しないか確認する必要があります。

非特異的ST-T変化

  1. T波の平低化や陰転、あるいはST低下のうち、病的な意義がはっきりしないもののことをいう
  2. 非特異的ST-T変化は基礎心疾患が存在する場合があるので注意が必要である
  3. 陰性T波のうち、5mm以上 の場合は精査の対象である
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