子どもの「ヘルパンギーナ」徹底解説！検査方法や症状から出席停止の目安まで

2024年7月30日

ヘルパンギーナは小児期によくみられる感染症で、高熱や口内炎などの症状が出ます。この病気への理解を深めるため、症状や予防法について詳しくご紹介します。子育て中の保護者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. ヘルパンギーナとは

ヘルパンギーナは、夏風邪の一種で、特に乳幼児によく見られます。流行する時期は初夏から秋で、エンテロウイルス属のA群コクサッキーウイルスなどによって引き起こされます。感染すると、流行シーズン中に何度も発症することがあります。

ヘルパンギーナの主な症状は以下の通りです：
– 突然38〜40度前後の高熱が出て1〜3日間持続することがあります。
– 喉が赤くなります。
– 喉の奥に小さな水疱ができます。
– 喉がひどく痛むことがあります。

ヘルパンギーナは乳幼児だけでなく、大人にも感染する可能性があります。この病気は自然に治癒する感染症であり、特別な治療薬はありません。しかし、高熱や口腔内の痛みがある場合は、水分補給に気をつけつつ安静にする必要があります。また、熱性けいれんなどの合併症が起こる可能性もあるため、症状が異常な場合はすぐに医療機関を受診しましょう。

ヘルパンギーナは家族内でも感染するため、少しでも喉に違和感を感じた場合は感染している可能性があります。感染経路は飛沫感染、接触感染、経口感染が主な方法です。感染しやすい時期は一年中ですが、ピークは5月から7月にかけてです。特に5歳以下の子供が感染しやすく、1歳代が最も多く感染します。

ヘルパンギーナの潜伏期間は約2〜4日あり、感染力は強いです。ウイルスは咳や鼻水から約1〜2週間、便からは約2週間〜4週間にわたって排出されます。

ヘルパンギーナの予防方法には、手洗いや咳エチケットの徹底、感染者との接触を避けるなどがあります。ただし、ヘルパンギーナの特効薬やワクチンは存在しません。

次のセクションでは、ヘルパンギーナの検査方法について説明します。

2. ヘルパンギーナの検査方法

ヘルパンギーナの確定診断には、口腔内の拭い液や水疱の内容物を含むもの、便などによるウイルス分離またはウイルス抗原の検出が必要です。これにより、ヘルパンギーナを引き起こすコクサッキーウイルスの種類や感染の状況を詳しく分析することが可能です。

一般的には、臨床症状を重視した診断が行われますが、これらの検査方法を用いることにより正確な診断が行えます。このため、症状が不明瞭な場合や感染の拡大を防ぐために、検査が行われることもあります。

検査では、拭い液や便の中に含まれるウイルスの遺伝子や抗原を特定するための遺伝子診断やウイルス分離検査が行われます。これにより、コクサッキーウイルスが検出されればヘルパンギーナの確定診断が行われます。

特に、口腔内の拭い液や水疱の内容物を含むものを用いた検査は、病原体の存在を確認し、ウイルスの種類を特定するために有効です。また、便による検査も有効であり、感染の経路や拡大の状況を把握するために重要な手段です。

しかしながら、実際の医療の現場では臨床症状のみで診断することがほとんどであり、検査は確定診断のために行われることがあります。結果が出るまでの時間がかかることや、検査には費用や手間がかかることもあるため、臨床症状による診断が主となります。

ヘルパンギーナの検査方法は、ウイルス分離検査や遺伝子診断を含むものがありますが、実際の医療の現場では臨床症状による診断が主となります。ウイルスの種類や感染の状況を詳しく分析するためには検査が必要ですが、診断においては臨床症状が重視されます。

3. ヘルパンギーナの主な症状

ヘルパンギーナは感染症の一種であり、以下の主な症状が見られます。

3.1 突然の高熱

ヘルパンギーナに感染すると、急激な高熱が現れます。体温が38℃〜40℃前後に上昇することがあります。

3.2 咽頭痛

高熱の後に、喉の奥に強い痛みが現れます。咽頭が赤くなり、炎症が起こるため痛みが強くなります。

3.3 口腔内の小水疱

口の中の粘膜に小さな水ぶくれが現れることがあります。これは口蓋垂（のどちんこ）の周りや口蓋弓に発生することがあります。水ぶくれが破れると、浅い潰瘍が口内に形成されます。

3.4 食欲不振

口の中の痛みや咽頭痛により、食欲が低下します。食事を摂ることが難しくなり、食欲不振が引き起こされることがあります。

これらがヘルパンギーナの主な症状です。症状が出現した場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。特に子供の場合は、口の中の痛みによって食事や水分の摂取が困難になるため、脱水症状に注意が必要です。

4. 子どもがヘルパンギーナに罹患した場合の出席停止の目安

子どもがヘルパンギーナに罹患した場合、具体的な出席停止期間は設けられていませんが、以下の基準を参考に判断する必要があります。

熱が下がってから24時間以上経過していること。
体調が回復して元気になっていること。
十分に食事が摂れるようになっていること。
喉の水疱が治まり、痛みが気にならなくなっていること。

ただし、ヘルパンギーナは治療後も一定期間ウイルスを排出し続けるため、保育園や学校によっては出席停止期間を設定する場合があります。感染した場合は、保育園や学校に連絡し、出席停止期間や復帰の目安を確認しましょう。

ヘルパンギーナは5月から発生し、7月にピークを迎えます。その後は減少し、9月から10月にはほぼ見られなくなりますが、他の時期でも発症する可能性があります。

ヘルパンギーナに感染するのは5歳以下の子どもが多く、特に1歳から4歳の年齢層で最も多く見られます。0歳と5歳の罹患数はほぼ同じです。

ヘルパンギーナには学校ごとに対応が異なるため、学校によっては出席停止の措置を取る場合があります。特に欠席者が多い場合や合併症が見られる場合など、保護者の不安が大きい場合には学校医と相談して出席停止となることもあります。

ヘルパンギーナに罹患した場合、保育園や学校での復帰時期が気になるかもしれませんが、明確な規定は存在しません。一般的な目安としては、解熱してから24時間以上経過し、喉の痛みや下痢が改善し、普段通りの食事ができるようになった状態が望ましいです。

学校保健安全法ではヘルパンギーナを「第三種学校伝染病」として分類していますが、出席停止期間や対応は学校や幼稚園、保育園の裁量に任されています。流行を防ぐためには、学校や園が学級閉鎖などの措置を取ることもあります。

もし兄弟がヘルパンギーナに感染していた場合でも、症状のない元気な子は保育園や学校に通っても問題ありません。ただし、ヘルパンギーナは感染してから症状が出るまでに2〜4日の潜伏期間があるため、注意が必要です。兄弟が感染した旨を保育園や学校に報告することが重要です。

ヘルパンギーナには明確な出席停止期間がないため、子どもの状態によって判断する必要があります。全身の症状が安定している（熱が下がっている、口の中の水疱や潰瘍の影響がない、普段の食事が取れるなど）場合は、登園や登校が可能です。復帰時期に迷った場合は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。

5. ヘルパンギーナの予防対策

ヘルパンギーナの予防法は、ほかの感染症と同じです。以下にヘルパンギーナの感染予防のための対策をまとめました。

感染予防のための基本的な対策

手洗いうがい・手指消毒を徹底する：ヘルパンギーナは飛沫感染と接触感染が主な感染経路です。患者との接触後や子供の排泄後、おむつ交換の後には必ず手洗いうがい・手指消毒を行いましょう。
おもちゃの貸し借りに注意する：近所でヘルパンギーナが流行している場合には、おもちゃの貸し借りにも注意しましょう。感染が広がる可能性があるため、環境を清潔に保つことが重要です。
使用後のおもちゃを消毒する：次亜塩素酸ナトリウム（0.02％）や消毒用エタノールを使用して、おもちゃを消毒しましょう。感染を拡大させないために、使用後のおもちゃは定期的に消毒する必要があります。

その他の予防対策

感染経路を把握する：ヘルパンギーナの感染経路を正確に把握し、感染を予防するための対策を講じましょう。正しい知識を持つことが感染予防につながります。
免疫力を高める：体の免疫力を高めることで感染症に対する抵抗力を強化しましょう。バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動などを心掛けることが重要です。
感染が疑われる場合は早めに医療機関を受診する：もしヘルパンギーナが疑われる症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。専門の医師による適切な診断と治療が行われることで、感染の拡大を防ぐことができます。

以上がヘルパンギーナの予防対策の基本的な内容です。予防には感染予防の基本的な対策の徹底が重要です。正しい予防方法を実践することで、ヘルパンギーナの感染リスクを軽減させることができます。

まとめ

ヘルパンギーナは夏風邪の代表的な感染症で、特に乳幼児に多く見られます。突発的な高熱や喉の痛み、口腔内の水疱など特徴的な症状が現れます。感染経路は飛沫感染や接触感染が主で、感染力も強いため、手洗いやうがい、おもちゃの消毒などの予防対策が重要です。症状が重篤な場合は早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。ヘルパンギーナは一般的に自然治癒しますが、合併症の予防や感染拡大の防止にも留意する必要があります。正しい予防知識と対処法を身につけ、ヘルパンギーナとうまく付き合っていきましょう。